ヒトが労働に勤しんでいる時に遊ぶことほど最高な瞬間はない。非常にハイな時間を噛み締めていることを自覚している。
もうひと月経過しそうな先日、私は六本木へ赴き『ヒグチユウコ展 CIECUS FINAL END』を観た。六本木を訪れたのはクリスマス前に父とライブハウスへ行って以来のことであった。表参道や渋谷、銀座などは行く機会も多く親しみを感じるが、六本木はいまいち慣れていない。
最寄り駅は日比谷線と都営大江戸線の六本木駅であるが、大江戸線は普段から乗らないことに加えて東京メトロは日比谷線のみという点から少々不便さを感じている。路線の数が乏しいゆえに、周囲のあらゆる場所が近いはずなのに遠く感じてしまう。こんなことを考えているが、六本木周辺でタクシーを乗り回す人間にとっては何とも思わないのだろう。
話題を戻そう。『ヒグチユウコ展 CIECUS FINAL END』、"CIECUS"の名称にふさわしく、サーカスのテント内のようなギャラリーの中に数えきれないくらいの作品が展示されていた。
代表的なモチーフの猫や少女の絵、また絵のみならず彼女のイラストが施された家具や食器、洋服など、作品の形態は多岐にわたる。私が学部生だった頃にドイツ語の例文を沢山書きこんでいたメモ帳の原画も展示されていた。本の装丁やあらゆる雑貨に描かれている彼女の作品を眺め、それらを使用していた瞬間を思い出しながら絵を眺めるのはなかなか感慨深かった。
映画作品のポスターが飾られた空間は特に気に入って魅入ってしまった。『MIDSOMMER』や『MOON LIGHT』、『風の谷のナウシカ』等、様々な映画作品がモチーフとなり、ヒグチユウコのタッチで描かれていた。
観たいけれど怖くて未だに鑑賞に至っていない『MIDSOMMER』のポスターは、よく見ると花の真ん中が眼のようで、みんなこちらを見ているような気がしてならず、ちょっとゾッとした。
沢山の絵を観た後、恵比寿に寄って美味しいアイスを食べた。学生の頃から恵比寿へ行くたびによく行くアイス屋さんである。今回は3種類のアイスを選んだ。
いちごと抹茶と黒糖ほうじ茶、四捨五入すると"茶"である。添えられていた塩昆布も相まって優しい味であった。
日々忙殺されているが、充実した1日であった。日常から少し距離を置き、好きなものに浸る瞬間が不可欠であるということを再認識した1日でもあった。また近いうちに思いきり遊びたい。